技術系だったせいか、周り男8割女2割。
仕事に関してはそりゃ当然お互いに同等のものを求められるが、 男性陣は、普段は皆気の良い人たちで、女性に重いものは…みたいに親切。
その中に、いつも更に余分に優しい?人がいた。
「お疲れ様」って頭ぽんぽんするのが、特徴だった。
最初は同期の女性は皆、「先輩だし」「社会人でもこういうことあるのかも」みたいに甘んじてた。
だがその内、他の男性がいない間に「かわいい!」と言って抱きつかれる人が増えた。
さすがにこれは違うだろ、とだんだん皆が引き気味になり始めた。

けど、私はそんな水面下の変化は知らなかった。
何故なら頭ぽんぽんの後、しばらく皆とは違う部署にいたため、 抱きつかれるなんて知らなかった。

久しぶりにA先輩に会い、普通に挨拶をした。
しかしその頃A先輩は皆に避けられていたため、久々に射程内に女がキターみたいな感じだったようだ。
でも、しばらくは私は他の仲良くなった同期の男性たちと歩くことが多かったので、挨拶以外は何も接触なかった。
だから私は油断しまくりだった。

ある日、私がパソコンに向かって作業してるとき、先輩がやってきた。
そして、いきなり肩を揉み始めた。
ギャッと思ったが、本当に信頼できる別の先輩(B)が後輩によく、 「ここが痛くなるだろ?」て優しくマッサージしてたから、 (そのB先輩は男女問わず頭ぽんぽんしてたし)馬鹿なことに、「これは親切か?」と思ってしまった。

私が本当に馬鹿だったが、そのせいでA先輩からロックオンされた。
最後には誰も見ていないところで「結婚してあげるよ」「断ったら知らないよ」と脅かされ続け、 もうダメだ、辞めようと思った。
単に上司に話せばいいのだが、他の女性たちが先輩について上司に申し立てることもなかったし、
「私だけが騒ぎ立てるのもどうか」
「もしかして冗談かも」
「いつかは止めてくれるかも」
と、悶々と考え続けてた。
体調も悪くなりつつあり、先輩を見ると吐き気がしはじめていた。

で、ついにしばらく前、とうとうA先輩に、深夜残業で誰もいなかった休憩所で抱きつかれた。
更に、いきなり首筋にキスされた。
ひぃ!となったが声が出ず、どうにか腕からは逃れたが、力も出ないので、這って逃げていた。
もう何が何だか、動転して「殴られる」「殺される」と思ってた。

そこに、B先輩と同期のC君とDさんが偶然やってきた。
ちょうど残業が重なる時期だったから良かった。
先輩方は激怒しA先輩を捕まえ、とりあえず先輩方の部署にA先輩を連行。
そこの部署の上司にそのまま報告。

次の日、A先輩は停職処分になり、私はB先輩たちのいる部署に戻された。
「時間が合わなかったとはいえ、忠告しなくてごめんなさい」
とDさんや他の女性たちから謝られた。

同じような行為でも、性格でまったく意味合いが変わってくるんだな。
B先輩には後輩は皆懐いてたのに…
スキンシップって難しいね……
超怖かった。

ちなみにA先輩はずっと
「誤解だ」
「彼女とは付き合う前提でよく話してた」
「スキンシップを喜んでくれていた」
「だから照れていただけだったんだ、大事にする必要はない!」
と、主張していた。

私は、上司から「こういうことは早く報告してください」と注意を受けた。
「学生と違い、社会人は何でも“自分から”働き掛ける必要がある。それが自立した人間だ」
…確かにその通りです…